税理士法人漆山パートナーズ

TOP 基礎知識 税制優遇を受けながら貯蓄...

Knowledge基礎知識

税理士 資産運用財形制度 資産運用

税制優遇を受けながら貯蓄できる財形年金貯蓄のメリット

老後の資金づくりを考えたとき、給与天引きで確実に積み立てられる仕組みがあれば安心できます。
財形年金貯蓄は、勤労者が給与から自動的に積み立てを行い、利子が非課税になる公的な貯蓄制度です。
本記事では財形年金貯蓄について解説します。

財形年金貯蓄の基本的な仕組み

財形年金貯蓄は、勤労者の老後資金づくりを目的とした公的な貯蓄制度です。
給与天引きで積み立てるため貯蓄の習慣がなくても確実に資産を形成できます。

財形貯蓄の種類と年金貯蓄

財形貯蓄制度には3種類があります。

  • 目的を問わず自由に使える一般財形
  • 住宅の取得や増改築に充てる財形住宅
  • 老後の資金を目的とする財形年金

一般財形は利子に約20%の税金がかかりますが、財形年金と財形住宅を合わせて元利合計550万円までの利子が非課税です。
財形年金貯蓄は、60歳以降に年金形式で受け取る仕組みで勤労者の自助努力、事業主の協力、国の税制優遇の三者が一体となって運営されています。

財形年金貯蓄の加入条件と積立のルール

財形年金貯蓄に加入できるのは、契約時の年齢が55歳未満の勤労者です。
積立期間は5年以上が条件で、60歳以降に年金として受け取るまで原則として引き出せません。
積立限度額は財形住宅貯蓄と合わせて550万円まで、保険型の商品では払込保険料累計額385万円以内の上限もあります。
毎月の積立額は、給与から天引きされるため手続きの手間がかかりません。
なお、民間企業の役員や個人事業主は加入の対象外です。

財形年金貯蓄のメリット2つ

財形年金貯蓄には、ほかの金融商品にはない税制上の優遇措置があります。
老後資金を着実に準備したい勤労者にとって、2つのメリットを確認しましょう。

利子が非課税になる

通常の預貯金では、利子に対して約20%の税金が源泉徴収されます。
財形年金貯蓄では、財形住宅と合わせて550万円までの利子が非課税となるため利子がそのまま手元に残ります。
たとえば、金利が年0.5%で500万円を預けた場合、通常の預金では利子2万5000円に対して約5000円の税金がかかりますが、財形年金貯蓄には税金はかかりません。
金利上昇局面では、非課税のメリットがさらに大きくなるため恩恵を実感しやすい状況です。

老後資金を貯められる

給与天引きで自動的に積み立てられるため、毎月の貯蓄額を使い込む心配がありません。
貯蓄が苦手な人でも、仕組みとして資金を積み上げられるのが魅力です。
元本保証型の商品を選択すれば、積み立てた金額を下回るリスクも抑えられます。
企業によっては財形給付金制度や財形基金制度を設けており、会社独自の上乗せ支給を受けられる可能性もあります。

財形年金貯蓄のデメリットと利用を見直すべきケース

財形年金貯蓄はメリットがある一方で、すべての人に適した制度とは限りません。
デメリットや利用を見直すべきケースを確認します。

金利上昇局面における評価とNISAとの使い分け

金利が上昇傾向にあれば、利子の非課税メリットは大きくなります。
財形年金貯蓄は、元本保証型が中心のためインフレが進む局面では、資産の実質的な価値が目減りする可能性もあります。
物価上昇に対抗するには、投資信託で運用するNISAとの併用も選択肢です。
財形年金貯蓄で安全に積み立てる部分と、NISAでリスクを取りながら成長を狙う部分を分けるとバランスのよい資産形成につながります。

利用を見直すべきケース

近い将来にまとまったお金が必要な人は、財形年金貯蓄の利用を慎重に検討しましょう。
結婚や住宅購入で資金が必要になり、目的外で途中解約すると過去5年間に遡って利子に税金が課されます。
非課税で積み立てた利子に約20%の税金がかかるため、通常の預金より不利になるケースもあります。
転職や退職で継続が難しくなる場合も、同様のリスクが生じます。
財形年金貯蓄は、長期にわたって資金を動かす予定がない人に向いている制度です。

財形年金貯蓄の賢い受け取り方と引き出しの注意点

財形年金貯蓄は、受け取り方によって税制上の扱いが変わります。
非課税のメリットを活かすポイントについて、確認しましょう。

年金形式での受け取り方

財形年金貯蓄は60歳以降に、5年以上の期間にわたって定期的に受け取る年金形式が基本です。
年金形式で受け取れば、利子の非課税措置が維持され確定申告も原則不要になります。
一括で受け取ることも制度上は可能ですが、非課税のメリットが失われ利子に税金が課されます。
老後の生活費として計画的に受け取る方が、税制上も資金管理の面でも有利です。

途中で引き出す場合の条件

満期前に途中で引き出す場合は、目的外の払い出しとして扱われ過去5年分の利子に遡って課税されます。
退職する場合は、転職先に財形貯蓄制度があれば移換手続きにより継続が可能です。
ない場合は、積み立てを継続することはできず解約となります。
公務員も同様の仕組みで運用されており、退職時に届出を行えば転職先での継続や払い出しの手続きを進められます。
途中引き出しには、事業主を通じた申請が必要なため、手続きの流れを事前に確認しておきましょう。

まとめ

財形年金貯蓄は、給与天引きで確実に積み立てながら利子の非課税メリットを受けられる勤労者のための老後資金づくりの制度です。
金利上昇局面では、非課税の恩恵がより大きくなる一方、途中解約のリスクやインフレへの対応力には限界があります。
NISAとの使い分けも含め、ライフプランに合った資産形成を検討しましょう。
制度の詳細や判断に迷う場合は税理士に相談することをおすすめします。