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事業再生 税理士

事業再生で知っておきたい税理士のサポート内容とメリット

事業再生を経験したことがある経営者はごくわずかでしょう。
どこから手をつければよいか分からない場合、専門家の助言が大きな力になります。
本記事では、事業再生において税理士がサポートできることやメリットについて紹介します。

事業再生とは

事業再生とは、経営が悪化した企業やその中の特定事業を立て直し、経営の健全化を図る取り組みのことです。
厳密には、企業全体を対象とする「企業再生」と、特定の事業や部門に焦点を当てる「事業再生」は異なりますが、本記事では広義の意味で両方を含めて説明します。
売上減少や資金繰りの悪化、借入過多などによって経営が困難になった場合に、財務面・経営面の両方から改善策を講じます。
具体的には、コスト削減や事業構造の見直し、不要資産の売却、資金調達の再構築などが行われます。
また、債権者や取引先、従業員との調整も重要で、必要に応じて民事再生や会社更生といった法的手続きが活用されることもあります。
事業再生は単に赤字を補填するだけでなく、将来的に持続可能な事業体制を作ることを目的としています。

事業再生における税理士のサポート内容

事業再生において、税理士が行える主なサポート内容について紹介します。

財務状況の分析と改善策の提案

税理士はまず、企業の現状の財務状況を詳細に分析します。
損益計算書や貸借対照表を基に、収益性や資金繰りの課題を把握し、経営改善に向けた具体策を提案します。
たとえば、固定費の削減や売上構造の見直し、借入金の返済スケジュールの調整などが含まれ、経営判断に直結する実践的なアドバイスを行います。

資金繰りの改善

事業再生で最も重要なのは資金繰りです。
税理士は税金や社会保険料の支払い猶予や分割納付の相談など、税務面から資金繰りを改善する支援が可能です。
これにより、手元資金を確保しつつ事業再建を進められ、短期的な資金不足による経営リスクを回避できます。
財務分析と資金繰り改善を組み合わせることで、再生計画の精度が高まり、事業の持続可能性を確保することが可能です。

事業再生における税務戦略

事業再生の過程では、税務上のリスクを把握し、適切に対応することが重要です。
税理士は、企業再生税制の活用を含めて、青色欠損金の活用可能性や期限切れ欠損金の利用可否を確認します。
また、資産に含まれる含み益や含み損の金額を把握し、売却時の税負担を正確に見積もります。
さらに、各事業再生手法の税務上の利点・欠点を検討し、最適な再生スキームを提案します。
場合によっては、法的整理や私的整理の選択肢、会社分割・合併などの組織再編との組み合わせ、DES(デット・エクイティ・スワップ)やDDS(デット・デット・スワップ)などの活用を踏まえ、税務の観点から戦略を構築します。

金融機関との交渉サポート

事業が業績不振に陥ると、金融機関からの借入金返済や新規融資が難しくなり、資金繰りが厳しくなるケースが多くあります。
こうした状況では、取引金融機関に対して借入金の返済スケジュール変更(リスケ)、金利の減免、追加融資などの支援を求める必要があります。
その際には、金融機関に対して経営改善計画書を提出することが求められます。
税理士はこの経営改善計画書の作成を支援します。
財務状況の整理、将来の収支予測の作成、改善策の提示などを行い、金融機関に対して説得力のある計画書を提出できるようにサポートします。
また、税理士が金融機関との面談に同席することで、質問や指摘に対して的確な回答が可能になり、交渉をスムーズに進めることができます。
このように、税理士のサポートにより、資金繰り改善のための金融機関交渉を円滑に行うことができ、事業再生の成功確率を高めることができます。

税理士に依頼するメリット

税理士に依頼することで、事業再生の複雑な手続きをスムーズに進められます。
財務・税務の専門知識を活かし、資金繰り改善策や税務戦略を適切に提案できるため、余計なコストやリスクを回避できます。
また、金融機関との交渉や計画書作成も的確にサポートしてもらえるため、経営者は再生の方針決定に集中できます。
加えて、税務上の優遇制度や欠損金の活用などを最大限に活かし、手元資金を確保しながら事業再生を進められる点も大きなメリットです。

まとめ

事業再生を成功させるには、財務・税務・資金繰りの全体像を把握し、計画的に進めることが重要です。
税理士は、財務状況の分析、改善策の提案、税務支援、計画書作成など、幅広くサポートできます。
事業再生についてお悩みの場合は、税理士に相談することを検討してみてください。