相続放棄

相続放棄は、ご自身の意思とは関係なく相続人になってしまう方がご自分の意思で相続人として発生する権利と義務を放棄することができる制度です。
相続人になった方は、相続放棄の手続きを行うことで、相続人ではなかったことになります。
相続を放棄する場合は、熟慮期間中に裁判所に申し立てる必要があります。

債務過多の財産引き継ぎを放棄する場合

相続放棄が行われるケースで多いのは、故人の残した財産が総額でみるとマイナスの財産のほうが多い場合です。
相続は、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことになります。
故人の現金や不動産と同時に残った債務も相続しますので、借金がある場合はその返済義務も相続することになります。
債務の額が莫大な場合でプラスの財産をはるかにオーバーしている場合などは、相続することで大きな借金を背負ってしまうことになります。
それを避けるために、財産に対する権利と義務を放棄することができるのが相続の放棄です。

特定の相続人に財産を集中したい場合

相続放棄は親族間で相続を戦略的に進めるために使われることもあります。
配偶者に相続を集中するために子が全員放棄する場合や、家業を継ぐ子に相続を集中するケースなどです。
事業承継が絡んでいる場合には、事業に必要な不動産や株式の相続を集中するかわりに、金融機関への債務も次の経営者に集中することもあります。

相続放棄の証明書

金融機関などが想定相続人に対して債務の義務を主張することがありますが、相続放棄していることを示す証明書により、その主張を退けることができます。
裁判所に申請することで証明書を発行してもらうことができます。